動物愛護法改正で、民主党ワーキングチーム骨子案からばっさりと削除された実験動物の項目。(アエラ6月11日号 p.63 に詳しいので参照されたい。)
パブリックコメントでは動物実験規制を求める民の声は24286件も集まり、学会や業界団体の「見直し必要なし」は800件ちょっと。
それでも削除されたのだから、これは民の声を無視しているといえる。
欧米で相次ぐ法改正により実験動物の福祉への配慮や代替法への取り組みが進むなか、日本だけが大きく遅れをとっている。
実験動物の数も種類も実験内容も、国・行政は把握していない。
(実験施設の届け出制を定めた条例をもつ兵庫県は例外だ。)
文科省はアンケートという形で大学等を調査したが、わずかな項目のその回答をもって「把握している」とは言えまい。アンケート結果を検証したわけでも立入調査をしたわけでもない。関係者の自主的な申告のみで、実験計画書や評価が適正か否か、3Rsの配慮がなされているのかどうか、薬事法違反がないかは、まったくわかるはずがない。
民間企業には国も踏み込めない。
実態把握はまるきりできていない。
11月・2月と3つの省庁に情報開示請求をしたが、国はよくわかっていなかったことに
衝撃を覚えた。
それなのに、動物愛護管理のあり方検討小委員会の23年9月28日(第21回)議事録を見れば浦野委員の発言のなかに「現在の実験動物領域については(自主管理で進めて)問題はないというふうに、少なくも環境省、文科省、厚生労働省等の省庁には断言して頂いております」
とある。
ほんとうにそのような断言があったのか。
だとしたら問題ないとするその根拠は何なのか、各省庁に公開で説明を求めたい。
小委員会という公の場での発言なので、確かに省は自主規制で問題ないと断言したのだろう。
今回の民主党骨子案削除へのレールは、かなり前からすでに着々と敷かれていたのかもしれない。
「原子力村」ならぬ「動物実験村」の、議員・省庁・医薬界・学会・業界のメンバーたち。
「自主管理」の名の下でこのメンバーにより内輪で行われる査察や指導は意味があるのか。
アメリカの自主規制とはレベルが違う。
アメリカでは査察のメンバーに獣医師や愛護団体など一般市民も含まれているからだ。外部の目がなければ規制は機能しない理屈はコドモでもわかる。
実験動物の生産施設・飼養施設でほんとうに管理が適正に行われているか、私たち住民はまったく知るよしもない。
厚い壁の向こうで、科学の名のもとにどんな実験がなされているだろうか。
税金を使って。
それさえ私たちはわからない。
行政が把握することが、今こそ求められている。
頼みの行政であるが、文科省をはじめ、厚労省・農水省の本音が規制強化反対なのは上記の小委員会での発言でも明らか。
さらに、文科省の担当部局はパブコメにも応募し、堂々と規制反対の省是を展開したという。
のちに民主WT座長の田島氏の耳に入り担当者は厳重注意を受けている。(集中confidentia「医療周辺の真相×深層」より)
こんなところから私たちはスタートしなければならないのだ。
現行法維持に省庁がからんでいる現実。
国の官僚と学会・業界が一丸となって作った厚い壁をどう崩すか。
密室に閉ざされた実験動物に到達する前に、障害として、まずこの壁が、ある。
国際競争力、難病患者救済、科学の進歩、の美名に飾られているのはいうまでもない。
患者団体をはじめ、世論を見方にしようとあちらも必死に闘うだろう。
この中立であるべき検討小委員会の委員長である林氏は、カヌクイザルを使って研究する実験者でもあることを付け加えておく。
こうした人物を審議会のメンバーの中心に据えたことが、この国の病んだ側面をよく表している。
これは、原子力村と同じ構造。
動物実験村。
だったら国民に正否を問うしかない。
主権は在官でなく、在民のはずだから。(いや、もしかしてそうでないのかもしれない。)
国民に真実が知られていない、それがまず問題。
闇の中、隠蔽、それがおかしい。
実験動物も愛護動物も同じ痛みと苦痛を感じる命である。
だから実験動物の福祉には最大限配慮すべきである。
住民の人権を守るという観点からも、実態把握は最低限、必須である。
なぜそれが通らないのか。
諸外国で通っていることが、なぜ日本だけできない?
今回の法改正で、届け出制に対しなぜにこれほどの妨害があったのか。
それを、時間をかけても、これから探っていこうと思う。
ヨーロッパでは、動物実験に賛成をする人たちも、あくまで「規制強化」を前提にした上での実験賛成であることを強調したい。
規制がない、実態把握ができない、見えない、というなかでは、私たちもおそろしくて安心して住んでいられない。
実験施設の届け出制すらこの国は実現していないので、
どこでどのような細菌やウイルスが扱われ、遺伝子組み替えマウスが扱われているのか、
私たちはわからない。
では、緊急災害時にはどうするのか。
昨年の3.11でも建物が壊れた。
行政も国も把握していないなか、どうやって対応するつもりか。
国民の健康は守ってくれないのか。そうか、福島でもそうだったように。
繰り返すが、国民は自らの健康と安全のためにも、家族を守るためにも、こうした実験施設の所在地について知る権利がある。
これは、人権問題でもある。
今回、医系国会議員による妨害で骨子案から削除された経緯をみて、
実態把握すら実現できないこの動物行政の闇を見る気がした。
動物実験とはなにか。
まず、そこから、一からスタートだ。
私たちも頑張って勉強し、それを世の中に伝えていく。
間違えたことは真摯に訂正する。
だから、これを読んで下さった方は、いっしょに考えてください。
壁を、積み木崩しのように、壊していかれるように。
***
関係者でなければ密室で行われている実験を知ることはできません。
ただ、今は動物保護団体のサイトやポスターでその一端を素人でもうかがい知ることができます。
イタリアの愛護団体に紹介されたビデオです。
転載の許可をとりました。
http://www.youtube.com/watch?v=rpQ0WnlHIc0&feature=related
この動画には、どんな種類の実験が行われているのかが紹介されています。
この映像についてご存じの方も多いでしょう。
釈迦に説法で申し訳ありませんが、テロップを訳すと以下のような内容です。
1.ウサギの眼球に薬を入れ、徐々に腐食していく様子をみるドレーズテスト。
(テロップ:ウサギの目は人間のそれと異なるので実験結果も人間には適用できない)
2.ウサギやラットを用いた皮膚感作性試験(神経毒性試験も?)。
(テロップ:薬品が皮膚に染み込むよう剃毛されている。炎症の痛みは耐えがたいものだろう。主に整髪剤やスプレイの毒性検査に使われる実験である。)
3.毒性試験LD50テスト。
(テロップ:毒を多量に集めて実験する発想自体が馬鹿げている。これほど多量の毒物を人間が吸入するわけがないのに。By 毒物学者1988年6月14日)
(テロップ:これらのラットは毒を無理に飲まされ、14時間、痙攣し続けた。)
*LD50(dose服用量 letale 致死の 50%)の実験とは、
60匹を集め、毒物を経口で与えていき、全頭死んだら、量を少なくしてまた実験を繰り返す。実験動物の半数が死ぬ量を探り当てるまで継続する。そのためLD50と呼ばれており、数も必要とし苦痛も大きい、残酷な実験。ラット、ウサギだけでなくイヌなど大型動物も使われる。ヨーロッパでは禁止となり、これに代わる代替的な方法論がいくつか提示されている。果たして日本では???
4.溺死
何の実験なのか、薬物のなかで溺死したラットたち。
5.ラット、マウス、ウサギだけでなく、子ねこも犠牲に。
(テロップ:薬品スプレイを全身に浴びせられた子ねこ)
ひくひくと檻の中で弱っていく。
6.ねこの実験。
体内に通した電流により、スイッチを押されるたびにおろおろと檻の中を跳ねる、脳に電極を埋め込まれたねこ。逃げ場はどこにもなく、ただ踊り続けるだけ。
このねこの目を見て下さい。これは心理学のテストだと書かれていますが、人間とは種の異なるねこを捕まえて、このような実験をして何を導き出せるというのでしょうか。
7.霊長類が対象となる…「母の不在」の研究
(テロップ:母親から離された赤ちゃん猿が、ぬいぐるみや棒を母とみなして甘える。)
何のための実験?これが科学?税金を使った「虐待」?
8.「攻撃性の研究」として、イタチにウサギを襲わせている実験。
(テロップ:イタチも無理矢理、攻撃的にさせられている(薬物で?))
実験をやりたい人間が、2人で勝手にボクシングすればよいことです。
9.「痛みの研究」
(テロップ:サルの頭には電極が埋め込まれている。)サルの表情を見れば、普通の感覚ではとてもできることではない。
続いて猫への実験シーン。
ベルコンベアの上を延々と歩かされている猫、その猫に後ろから注射針を刺し続ける実験者、疲れ果てて倒れそうになっても執拗に後ろから攻撃。
あれは何のための実験なのか説明がなくわかりませんでしたが、痛みの研究でしょうか。
あの白衣を着た人たちは、科学者でしょうか?Mad scientistsでしかありません。
映像の最後には、こう書かれていました。
「実験室に入って2日もたてば、研究者は生きるものを苦しめ痛みを与えることに対して何の抵抗感も罪悪感も感じなくなる。動物をいたぶるゲームになるのである」と。
「こうした実験が本当に意味のあることですか?」
人間と動物は違う。
動物でOKでも人間では副作用が出ることがある。
サリドマイド薬害を思い出して下さい。
人と動物は違うのです。人は人で調べなければなりません。農薬を扱うとき、人間のほうが手袋をはめればいいだけです。なぜ動物にテストをするのですか?
「皆さんが化粧品や洗剤、薬品を購入するときは、その企業が動物実験を行っているかどうか、調べてみて下さい。動物実験でなく、人の組織や細胞の培養を用いた代替法を採用しているかどうか。動物に苦しみを与える企業の製品は買わないでください。」
との文章で終わっています。7分のビデオですのであっという間に見終わります。