茨城県動物の愛護及び管理に関する条例の一部を改正する条例の骨子案への意見
by ゆーさん
多くの国民の意思を反映して、今般9月に『動物の愛護及び管理に関する法律』(以下、動物愛護法)が改正・施行されます。
こうした時代の背景を鑑みても、『動物愛護』は、今まさに過渡期にあると言えるのではないでしょうか。
一方、本県においては『犬猫の殺処分7年連続ワースト1位』という不名誉に対して、現状を変えるために、県民ひとりひとりが『動物を飼う』ということの責任について、今一度見直す必要があります。
そうした中において、この度改正される『茨城県動物の愛護及び管理に関する条例』(以下、県条例)が、より現代の流れに即した条例となり、『人と動物との共生』を目指したものとなるよう祈念し、意見申し上げます。
県の責務について
(骨子案)
県は、動物の愛護と適正な飼養に関する普及啓発のため、県民、動物を取り扱う者及び民間団体など(以下、民間団体)と適切な連携に努めることを新たに規定します。
(意見)
『県』は、県民や民間団体などとの連携に努めるだけではなく、まずは『「基礎自治体である各市町村」に協力を要請し、必要に応じて市町村民、及び民間団体と適切な連携に努める』旨に変更していただきたいと思います。
なぜならば、これまでも、『県民や民間団体と協力体制を築く』と言われてきましたが、肝心な基礎自治体の協力が得られない為に、『県民や民間団体』と『行政』間での連携が円滑に行われなかったと感じるからです。
この経緯を考えると、この文面だけでは、言葉だけが先行して実態が伴わないのではないかと感じます。
また、『県と県民との連携』、という位置づけでは、『市町村』の明記がないために、基礎自治体においては『動物愛護は県の責務である』といった認識を招いてしまっているのではないでしょうか。
客観的に見ても、『県』と『市町村』はバラバラに動いており、県の考えが基礎自治体にまで届いていないのでは、という感が否めません。
私は茨城県動物愛護推進員ですが、推進員の中からは「地元の行政が協力してくれない」という意見も聞こえてきます。
個人での活動には限界があります。また県民は民意を県にまで届けることはあまりないように思いますし、それ以前に、地元自治体に声を届けるのが自然の流れだと思います。
であれば尚更、県は、地元の声がダイレクトに届いているはずの基礎自治体と、より一層の連携を図っていくことが必要不可欠ではないでしょうか。
基礎自治体の中で、動物愛護への意識が育つことによって、各市町村と住民との連携も自然と育っていくと思います。
そして、まさにそれこそが『官民一体』となった取り組みと言えるのではないでしょうか。
県内の実情を把握するためにも、また官民一体となった取り組みを推進していくためにも、県が、基礎自治体である『市町村』へ働きかけ、県の方向性をしっかりと示し、統率を図っていただきたいと思います。
何よりも、まずは『各市町村』と『県』とが連携を深めることこそが、『犬猫殺処分ワースト1脱却』に向けた近道ではないでしょうか。
飼い猫の所有者の遵守事項
(骨子案)
飼い猫の所有者は、飼い猫の健康及び安全のため、室内飼養等に努めることを新たに規定します。
(意見)
上記に加え『繁殖制限』の明記を強く要望します。
茨城県における猫の殺処分数は、実に2644匹。うち、幼齢個体は全体の約9割近い2342匹です。(平成23年度、環境省データ参照)
これは、飼い主が『適切に不妊去勢』を施さなかった結果と言えるのではないでしょうか。
元々は飼い猫であった猫たちが野良化したり、放し飼いされたりすることによって増えていることが原因なのです。つまりは飼い主の責任です。
であれば、飼い猫の所有者には、『適切に不妊去勢を施す』旨明記する必要があります。
これは、『動物の愛護及び管理に関する法律』(以下、動物愛護法)第7条5項・第37条にも明記されています。
『動物の所有者は、その所有する動物がみだりに繁殖して適正に飼養することが困難とならないよう、反則に関する適切な措置を講ずるよう努めなければならない。』(動物愛護法 第7条より抜粋)
『犬又は猫の所有者は、これらの動物がみだりに繁殖してこれに適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖を防止するため、生殖を不能にする手術その他の措置をするように努めなければならない。』(動物愛護法 第37条より抜粋)
我が茨城県においては、一歩踏み込んだ内容に変換し、『飼い主のいない猫』に対しても考慮した内容で明記していただくよう要望します。
(例:不妊去勢手術を施すことは、飼い猫がみだりに繁殖して周辺住民の生活に支障を及ぼすことを防ぐばかりでなく、生殖機能が起因と考えられる動物の疾病を未然に防ぐことは、その動物の生命を守ることにも繋がるため、生殖を不能にする手術その他の措置をするように努めなければならない。また、『飼い主のいない猫』に対して、自ら捕獲・繁殖を防止する手術その他の措置を行おうとする者に対しては、その者に危害が加えられることのないように、県は市町村及び動物愛護推進員や民間団体などに必要な協力を求めることができる。)
抑留した犬の生存機会の拡大
(骨子案)
所有者への返還の機会を増やすため,条例で規定している抑留した犬の公示(公表)日数を改正します。また,所有者から返還の申し出がなかった犬の譲渡を推進するための規定を新たに追加します。
(意見)
抑留した犬の生存機会の拡大を図るために、県では公示期間を実態に即して2日間から4日間へ変更しますが、それ以前に、引き取らないための姿勢を明記する必要があると考えます。
動物愛護法 第35条にも明記されていますが、『引き取りを認める相当の自由がないと認められる場合として環境省で定める場合には、その引き取りを拒否することができる』(動物愛護法 第35条より抜粋)旨、より具体的な罰則などを定め、県条例に盛り込んでいただきたく存じます。
具体的には、年に2回以上、同一人物が犬の持ち込みをした場合には、その一切の拒否ができること、や、持ち込み常習者には特別指導を行い、それに従わない場合は飼育権の剥奪や、罰則規定を設けるなど、具体的な対策を講じる必要があると考えます。
その他
条例の改正に伴い、再度見なおしていただきたい点があります。
併せてご検討いただきますよう、お願い致します。
条例の目的について(県条例より抜粋)
『この条例は,動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号。以下「法」という。)に基づき,動物の以後及び管理に関する事項を定めることにより,動物による人の生命,身体及び財産に対する危害を防止するとともに,公衆衛生の向上を図ることを目的とする。』
動物の愛護及び管理に関する条例は、『動物による人への危害を防止すること』と、『人による動物への危害を防止すること』の両方を示していると考えます。
また、生命あるものを慈しむ心を育むことは『県民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命の尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資する』のではないでしょうか。
以上の理由から、条例の目的について、以下のように変更する必要があると考えます。
『動物による人の生命,身体及び財産に対する危害を防止するとともに,人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする。』
定義について(県条例より抜粋)
第2条 この条例において,次の事項に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
(2)所有者 動物を所有している者(動物を所有している者以外の者が飼養及び保管(以下「飼養」という。)する場合は,その者)をいう。
この定義の中では、『所有者』と、『占有者』の区分がしっかりされていないが為に、第4条2項における『動物の所有者の責任』において、あいまいな部分が見受けられます。
2項では、『動物の所有者は,動物を終生飼養するよう努めなければならない。』とありますが、第2条の定義によると、それは『占有者』も含む表現となり、適切ではありません。
野犬などの掃とうについて(県条例より抜粋)
第13条 知事は,野犬又は第5条第1号の規定に違反してけい留されていない飼い犬(以下「野犬等」という。)が人に危害を加え,又は加えるおそれがあり,かつ,通常の方法によっては捕獲することが困難であると認めるときは,区域及び期間を定め,薬物を使用してこれを掃とうすることができる。
昔は、住民の間でも『毒入りだんご』を用いて、近所の愛玩動物を殺処分するということがありました。先日も、千葉県の公園に、『毒入りソーセージ』が撒かれ、野良猫のみならず飼い犬も危害を被るという事件が発生しました。今の時代でも『毒物による処分』を安易に発想する県民もいます。
しかしながら、毒物による処分、掃とうは、動物愛護の観点から、決して安易に行うべきものではなく、緊急時且つ捕獲が非常に困難な場合にのみ用いられる手法であることを示すためにも、上記の条文について、以下のような文面に変更していただくよう求めます。
『人に危害を加え,又は加えるおそれがあり,かつ,通常の方法によっては野犬を捕獲することが著しく困難であると認められる場合に限り,緊急必要時において,区域及び期間を定め,薬物を使用してこれを掃とうすることができる。』
以上